土佐人 2015-05-26 05:15:51 |
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「それはそうと源太、あの装置、あれからどうなった?」丈瑠は源太に向き話を変える。
「ああ、それがさ、難航してるらしい。設計図はあるし部品も作った本人がいるってのに、あの装置の復元は難しいらしい」
「ってどういうこと?だって設計図はあんだろ?だったら……」
「さあな、どういうわけかそのとおりに作ってもうんともすんとも言いやしない。作った本人も首傾げてやがったよ」
「そうなんや……なんか不思議な話やな」
「結局のところ、あの装置には博士の執念がこもっていたということだな」
「ちがうって、奥さんのために研究したんなら執念じゃないだろ」
「ほんまやわ。流さんムードないわぁ」
「え、いや、私はただ本当のことをだな……」
「つまり、大切な人への想いが奇跡を起こしたってことよね?」
「かもしれないな……」
おそらく装置は二度と作動しないだろう。皆が言うように大切な人に会いたいと思う心が、この世を護ろうとする人の意志が、そのときにはこもっていた。だからこそ、あの装置は奇跡を起こした。今ならそう素直に信じられる。けっして設定や整合性などを考えずに信じられる。
大和屋暁『侍戦隊シンケンジャー 三度目勝機』43 本文 志葉丈瑠 池波流之介 白石茉子 谷千明 花織ことは 梅盛源太 より
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