土佐人 2015-05-26 05:15:51 |
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天道家の台所には料理をするひよりの姿があった。
その横では樹花がひよりを手伝っていた。
「ひよりさん、わざわざ来てくれてありがとう」
「いいんだ、これぐらい」
樹花とひより……二人は共に天道の妹だった。
だがそのことで話をしたことはない。
それでも二人は何か不思議な絆みたいなもので結ばれているような気がした。
だからお互いがお互いの存在に温かいものを感じていた。
「いいにお〜い!ねえ、ひよりさん、どんな料理ができるの?」
「ビストロ・サルで僕が出そうと思ってるメニューなんだ……まだ完成してないんだけど」
二人並んで料理を作った。
やがて食卓にはひよりのシェフデビューの料理が並んだ。
「わ〜!どれもおいしそ〜」
「どうぞ」
「いただきます」
樹花が勢いよく食べ始める。
「おいし〜!これ、お兄ちゃんの作る料理とおんなじだ」
「え?」
「優しい妹……」
「そう……ありがとう」
樹花の言葉がひよりには嬉しかった。
「おばあちゃんが言っていました。料理は人から人へ受け継がれ、その味は人と人をも結ぶって」
おばあちゃんの言う通りだった。
たしかにひよりは料理でたくさんの人とも繋がった。
目の前にいる樹花とも加賀美とも弓子とも、そして天道とも。
そしてひよりと樹花はまだ帰ってこない兄の無事をいっしょに祈った。
米村正二『仮面ライダーカブト』決戦! 2 本文 天道ひより 天道樹花 より
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