土佐人 2015-05-26 05:15:51 |
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三途の川。イカシンケンオーはそこにいた。
コクピットの一行。顔を見合わせている。
(略)
「それでも、あの船を沈めれば……命を賭ける価値はある、か」
「せめて一撃!いいな!?」レッドは一同の顔を見返す。
「おう(はいっ)!」
イカシンケンオーは六門船をめがけて走り出す。
「はああああああああああああああああああ!」六人の雄叫びと共にイカシンケンオーは槍を振り上げる。
「行くぞっ!」
レッドの声と共にイカシンケンオーの背中のウイングへと雷が降ってくる。避雷針のようにウイングが落雷を吸収、エネルギーがチャージされ集約されたそれが槍の刃部分へっ集中する。
「槍烏賊一閃!」レッドたちは声を合わせ叫ぶ。
槍を六門船をめがけて降り下ろす。
激しい激突音と衝撃が、大きく六門船を大きく揺らし水しぶきが飛び散る。
哀れ六門船は真っ二つかと思われたが……実際はそうはならない。六門船は壊れることなくそこにあった。
「なに!?」
見れば六門船の舳先にはもうひとりのはぐれ外道、腑波十臟がいる。サイズの違いもお構いなしに彼の愛刀裏正で、イカシンケンオーの一撃を受け止めているではないか!
「十臟!」
「悪いな、シンケンジャー。だが、まだこの船を沈めさせるわけにはいかない。はあ!」
気合いと共にイカシンケンオーの槍を弾き、たたらを踏ませ後方へと下がらせた。
「フ……」
「なんて野郎だよまったく!」
「源太!まだいけるのか!?」ゴールドを見やり叫ぶ。
「さっきからとっくにやばいって!」
「殿!攻撃を!」
「へっ、あいつら道連れにできんだったら!」
「この命、惜しくはない!」
「殿様!」
「覚悟はできてる!」一同は叫んだ。
皆一様にノリノリである。敵の本拠地を叩くチャンス。命に代えても逃すわけにはいかないという空気に完全になっている。
「…………」レッドは隙間と六門船を見やる。隙間は確実に小さくなっている。
このまま闘いを続ければ、隙間は閉じ、自分たちは確実に命を落とすことになる。レッドは悩む。千載一遇のチャンスではあるが、絶体絶命のピンチでもあった。
レッドは考える。進むか?退くか?
「殿、やりましょう!」
「丈瑠!」
しかし、
「……撤退だ」レッドは悩んだ挙げ句、決断した。
イカシンケンオーは六門船を一瞥し、背を向け隙間へ向かった。
「…………」その背中を見やる十臟。
そして同様に、船の中からドウコクらが、その背中を見送っていた。
「シンケンジャー、あいつら……」今度会ったらぶっ殺す。そんなニュアンスを言葉に込めてドウコクは呟いた。
大和屋暁「侍戦隊シンケンジャー 三度目勝機」本文 シンケンレッド(志葉丈瑠)シンケンブルー(池波流ノ介)シンケンピンク(白石茉子)シンケングリーン(谷千明)シンケンイエロー(花織ことは)シンケンゴールド(梅盛源太) 腑波十臟 血祭りドウコク より
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