土佐人 2015-05-26 05:15:51 |
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僕は結城に笑いかけた。
「当たりましたか」
結城は頬を痙攣させ”それから僕の愛車の屋根を撫でる。結城は肩をすくめる。
「ゲン担ぎです。ツイてない時には”ツイている人の持ち物に触ることにしてるんです」
百万円をむしり取った相手をツイているなんて、よく言えたものだ。
結城が目を細める。見つめる先に、セピア色のでんでん虫が聳え立っていた。
その視線の先に、“仮想敵”という言葉が脳裏を掠める。
海堂尊『螺鈿迷宮』五章 銀獅子 本文 天馬大吉 結城 より
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