土佐人 2015-05-26 05:15:51 |
通報 |
半ばふて寝みたいに目を閉じて、車の揺れに身をまかせていると、次第に本当に眠気がやってきた。
そういえば、昨夜はあまり睡眠をとっていない。
紋のない紋白蝶がどこからともなく飛んできて、祐巳をキャベツ畑に誘う。
間違っているよ。----祐巳は、自分の夢につっこみを入れた。
これから行くねは高原だから、キャベツじゃなくて白樺並木とかじゃないの、って。
ばかね、祐巳さん。富士山に白樺なんと生えているわけじゃないの。----由乃さんが笑う。
どうしてここで富士山が出てくるんだ、って振り返ると、そこには間違いなく絵に描いたような富士山が目の前にそびえていた。
富士山からは後光が射していて、イエスズ様の顔をしたお釈迦様が頭の上でバッテンポーズをとっている。それを困惑顔で拝んでいるのは志摩子さんで、祐巳が側によるとおみくじを差し出した。折り畳まれた紙を開くと、そこにはは書かれていたのはこんな一言。
-----前途多難。
その四文字が、CGみたいにどどーんと画面から飛び出した時、肩を揺すられ目が覚めた。
ライトノベル『マリア様がみてる』子羊たちの休暇 本文 より
トピック検索 |