土佐人 2015-05-26 05:15:51 |
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「余計なお世話かもしれませんが、もし心配事や悩み事ができたらいつでも相談してください。力になります」
社交辞令ではなく本心からそう言っているように感じられて真魚はうれしかった。
事件当時はわからなかったが、こうして話してみて初めて氷川の真面目で誠実な人柄が窺えた。
翔一にはない頼り甲斐がある。
互いの飲み物がなくなったころ二人は喫茶店を出た。
店頭で別れようとすると、ちょうどそこに魚屋のビニール袋を提げた翔一が通りかかった。
「あれ?なんで真魚ちゃんが刑事さんと……?」
不思議そうな顔をして翔一が尋ねた。
「えっと、それは……」
真魚は言い淀んでしまう。
あかつき村事件のことも自分がその唯一の生き残りであることも知られたくなかった。
「なんでもいいでしょ。翔一君には関係ないの」
「まさか、補導ってやつ?そうだよなぁ、ヒコウしつるもんなぁ〜」
「非行っ!?」
氷川は思わず真魚に驚きの目を向ける。
真魚はあきれ顔で訂正する。
「気にしないでください……わかりづらいですけど、『下校』をかけたダジャレですから……」
ダジャレにしてもひどすぎると思い、氷川は頭を掻きながら笑う翔一をじっと見つめた。
岡村直宏『仮面ライダーアギト』第二章 本文 津上翔一 氷川誠 風谷真魚 より
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