土佐人 2015-05-26 05:15:51 |
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夜のビル街にスックと立つウルトラマン街に手前には一人の男の背中が街に巨大なウルトラマンを指差し、宣告する。
「君は招かれざる者なのだ」
無言で見下すウルトラマン。
『ティガ』の名敵役であるキリエル人(びと)が初登場した第3話「悪魔の預言」は第1話で光へと拡散してしまうダイゴ隊員をあれよあれよと見ているしなかった者に感情移入の回路を与えてくれた作品だ。
(略)
預言者は人類よりも遥か昔に居た救世主・キリエル人を名乗り、ビル爆破の衝撃から一般市民とイルマを守るために現れたウルトラマンティガを見上げ、語りかける。
「君を待っていたのだよウルトラマンティガ。君はこの星の守護神となるつもりなのかね。おこがましいと思わないか。君がその巨大な姿を現わすずっと前から、この星の愚かな生きものたちはキリエル人の導きを待っていたのだよ。君は招かれざる者なのだ!見せてやろうキリエル人の力を、キリエル人の怒りの姿を!」
預言者は巨大な戦士キリエロイドに変身する。
「あれがキリエル人の正体なのか?」
「いや、多分、身体のサイズまでもウルトラマンティガに合わせて変身したんです」
「挑戦するために?」
というGUTS隊員どうしの会話が、キリエロイドの実体のなさ、得体の知れなさを際立だせる。
ウルトラマンとビル街で格闘し、圧倒するキリエロイド。
キリエロイドとウルトラマンが両方、昔からいた巨人だったら、本来はどちらが救世主かは判断できないはずだ。
(略)
苦戦するティガを目の当たりにしたイルマはティガに叫ぶ。
「私は信じているわ。あなたが私たちを守り導いてくれることを。お願い。立って!」
隊長はティガに「あなたの力を信じる」と決意を表明する。救世主といってもティガに依存しているのではない。ティガが救世主であることを主体的に選択しているのだ。
(略)
高樹澪の美貌が、気高い表情とともに決断していくのは、我々がウルトラマンの流麗な姿を見たらもう、わけもなく信じてしまうしかないことを納得させる。
ウルトラマンが人類の救世主であることに揺さぶりをかけるキリエロイドという<裏のウルトラマン>の登場は、『ティガ』とそれに続くシリーズを決定づけた瞬間であった。
ソニーマガジンズ『地球はウルトラマンの星』〜ウルトラマン復活の道程 より
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