土佐人 2015-05-26 05:15:51 |
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平成ウルトラマンはだんだん<人間ウルトラマン>になっていった。だがウルトラマンが喋るわけではなく、あくまで人間の側から感じ取れる以外は謎にしてある。「光の巨人」がもともと何処から来たのかは、『ティガ』の最後まで語られなかったし、地球発のウルトラマンである『ガイア』でも正義を目に見える秩序としては描いていない。その点はやはり、昭和の第二期ウルトラシリーズの際に作られた「ウルトラ兄弟」やその背景にある宇宙警備隊という前提とは明確に違う。
(略)
小中が書く作品は、ウルトラマンと戦う<人類の敵>側に関しても同じスタンスを取っている。人間の言葉を喋り、人間が理解し得る利害で侵略をしかける宇宙人という設定を持ち込まない。
「『GUTSよ宙へ』を書く時、セブンの『ウルトラ警備隊西へ』を見返したんですよ。あの話での宇宙人は、初めは地球の観測を怒って報復に来ていたのが、やがて侵略に転じたという、極めて人間的なロジックを持っている。でも自分で書く時には、相手には相手の論理があるんだけど、人間にはようわからんという風にしたかった。だから状況は不条理なんですよ。でもそれを「不条理だね」って言ってしまったら、神の視点になっちゃう。『自分より進んだ文明を許さないなんて、なんて身勝手な』というサワイ総監の科白はあくまで人間側の立場で、宇宙的視野から見ればロボットの方が正しいかもしれない」
得体の知れない機械人形ゴブニュが次々と襲ってくるという「GUTSよ宙へ」。その命令主はたどれない。
ソニーマガジンズ『地球はウルトラマンの星』第1章 光を継ぐもの 小中千昭 より
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