土佐人 2015-05-26 05:15:51 |
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海堂作品はミステリーじゃない、という声が聞こえ始めていた頃なので、一度きちんとミステリーを書いてみたかった。どうせ書くならオファーをいただいた中では東京創元社さんだ。何しろ『ミステリ・フロンティア』、これならさすがにミステリーと認知されるだろう。我ながら負けず嫌いである。
(略)
コンゲームを書いてみたかった。私の中でのコンゲーム最高傑作は初期ルパン三世テレビ版だ。まあ私の教養などはその程度である。そんな折、一億円の地域振興費の記事を読んだ。土佐高知の金のマグロ像が盗まれたという話が面白く、その時、黄金でできた地球儀のイメージがぽっかり浮かび、あっという間にストーリーが出来上がった。
(略)
よろよろと書き上げた時、自分はつじつま合わせの天才だと思った。でも残念ながら『このミス』にはかすりもしなかった(泣)。
◆格言9 捕らぬタヌキの皮算用
作品自体の評価は二分している。他の作品を読んできた人にはおおむね不評である。だが、この本から入った人にはかなり好評だったりする。そしてこの作品から他へ流れていった人は、逆に他の作品を読んでおったまげているらしい。
こうしたこともシリーズ物の功罪なんだろう、と思う。
海堂尊『ジェネラル・ルージュの伝説』自作解説 9『夢見る黄金地球儀』(東京創元ミステリ・フロンティア) 本文 より
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