土佐人 2015-05-26 05:15:51 |
通報 |
(略)
取材後、あまりに夕張を意識しすぎた作品はやめようと思った。夕張で起こった医療問題は実は日本中の地域で起こっている普遍的な事態なので、夕張に囚われすぎると一般性は消失する。そこで北海道の架空都市、極北市にに舞台設定し公立病院が潰れるというセンセーショナルな物語にしようと考えた。ところが私の物語の中ではよくあることだが、物語が直後に現実化した。千葉の銚子市立病院の閉鎖問題が起こった。『極北クレイマー』連載中で、このままでは銚子市立病院事件をひき写したとだけと思われてしまうと焦ったりしたが、何しろ連載は週一回、どうにもならない。目の前でフィクションが現実に追い抜かれていくのを指をくわえて見送るしかなかった。
◆格言13 兵は拙速を尊ぶ
週刊誌連載は楽しかった。深津千鶴さんのイラストが楽しみで、駅の売店でちら見をすると立ち読みしてしまう。自分が書いたはずなのに……。バカである。
海堂尊『ジェネラル・ルージュの伝説』13『極北クレイマー』(朝日新聞出版)本文 より
トピック検索 |