看板をでかでかと掲げるほど、不定愁訴外来の実存と意義から掛け離れたことはない、というのが表向きの理由だったが、実は本音の理由もそのまんまだった。 不定愁訴外来は日陰の花。人に知られずひっそりと咲く。 それが俺のモットー、いや不定愁訴外来の理念、というヤツだ。 海堂尊『ケルベロスの肖像』5章 廊下トンビの墜落 本文 より