土佐人 2015-05-26 05:15:51 |
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高階病院長は大きく伸びをした。
「田口先生に告解したら、気分が軽くなりました。若返った気分です。久しぶりに封印を解き、前線に参戦し、私の本当の姿をお見せしましょう。こう見えても私はかつて、帝華大の阿修羅と呼ばれていたこともあったんですよ」
東城大内部で、高階病院長ほど数多くの言葉で語られている人物は他にいない。
臓器統御外科の黒崎教授との確執、かつての恩師・佐伯前教授に掲げた反旗。そのために外科の名門、国手率いる総合外科学教室が分裂したというウワサ。穏やかな風貌とは裏腹に、この人はいざとなったらどんな手段を使ってでも、自分の思い通りに物事を敢行するという印象がつきまとっている。
その高階病院長が自ら最前線に立ち、東城大の最終防衛ラインを率いるという。
俺は、湧き上がってくる高揚感に身震いした。
海堂尊『ケルベロスの肖像』4章 東城大の阿修羅 本文 田口公平 高階権太 322の続き より
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