土佐人 2015-05-26 05:15:51 |
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あれは一体いつごろのことだったのか……夕方、学校から帰ってテレビをつけたら、男の子と偽って生きているお姫様の物語が繰り広げられていたのです。アニメ『リボンの騎士』の再放送でした。
「女の子らしくしなさい」という大人たちの言葉に反発を感じて育った私は、一瞬のうちにそのアニメに心奪われました。そして、恋におちたとたんにしとやかになってしまうサファイアが歯痒く、フランツの存在を腹立だしく感じたものです。
(略)
今回、この仕事をお受けするあたり、私は「少女クラブ」版と「なかよし」版の『リボンの騎士』を読み返し、そして気づきました。実はこの作品は「体の性」「心の性」「社会的な性(ジェンダー)」の齟齬(そご)が引き起こす複雑な問題を扱った危うくエロティックな性愛テーマの漫画なのだ、と。
「少女クラブ」で『リボンの騎士』の連載が始まったのは一九五三年。なんと昭和ニ十八年!当時としては、この連載はかなりの冒険だったのではないでしょうか。しかも手塚先生はまだニ十四歳の若さです。やはり天才は違う……。
デュアル文庫『手塚治虫COVER』【エロス編】あとがき 森奈津子 より
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