土佐人 2015-05-26 05:15:51 |
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光は次々と柱に伝わり、やがて兵士たちは光のテントに包まれたようになった。中央に乞立するのは、月からやってきた総司令官(プライム)。その名のとおり前哨兵(センチネル)のようだ。
前哨……。
「そうか、そういうことか!」サムは突然、大声をあげ、勢いこんでレノックスに言った。
「前哨(センチネル)だよ」
「センチネル・プライムがどうしたんだ」
「彼じゃないよ!あれだよ!」興奮した声で説明する。「何日かまえにカーリーといっしょにに、古典映画チャンネルで《ニ〇〇一年宇宙の旅》を見てたら----」
「ちょっと待て。その話は重要なのか?」
「聞いてったら!退屈なしゃべりかたをするじいさんが映画について解説してたんだ。あの映画はアーサー・C・クラークが書いた『前哨』という短編を下敷きにしている。その小説では、月の裏側にエイリアンが残した宇宙基地がみつかるんだ。そこにあったさまざまな先進技術の遺物のなかに、映画に出てきたあのモノリスもある。でもモノリスは警告を発するビーコンだった。人類が知能を発達させてそれを発見し、いじれるところまで進化すると、それを残したエイリアンにとっては危険を意味する。だからビーコンでエイリアンを呼ぶ。エイリアンはいずれやってきて、たぶん人類を滅ぼすつもりなんだ。わかる?アーサー・C・クラークはこういうことが起きるのをなぜか知っていたんだよ!そして手遅れになるまえに人類に警告していたのかもしれない!」
「じゃあ、そのクラークって作家に助言を求めたほうがいいのか?」
「そうさ!あ、いや、待って……」サムは突然思い出した。「クラークは数年前に亡くなってたんだった」
レノックスは白い目で見た。
「なるほど。ずいぶん役に立つ情報だな」
ハヤカワ文庫『トランスフォーマー ダークサイド・ムーン』ワシントンD.C. 本文 サム・ウィトウィキー ウィリアム・レノックス より
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