土佐人 2015-05-26 05:15:51 |
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人生の入り口での状態は、といえば、水木も私も、お世辞にも、幸運だったとはいえないでしょう。でも、「いろいろなことがあったけれど、幸せだ」と素直にいえるのは、「水木が自分自身を信じ続け、私も水木を信じ続けてきた」からだと思います。自分が選んだ道をひたむきに生きていれば、「来たるべきときが必ず来る」とふたりとも信じていたのです。
なぜ、水木と結婚したのかと聞かれれば、いろいろ理由はあるけれど、つまるところ「私には水木と結婚する以外に道がないと思ったから」というのが本当のところです。恋愛に価値があると思っておられる方々には、これ以上の不運はないと思われるかもしれません。
でも、私の実感では、最初に燃え上がった恋愛感情だけで、その後の人生すべてが幸福になるとは、とても思えません。伴侶とともに歩んでいく過程で、お互いが「信頼関係」を築いていけるかどうかにこそ、すべてかかっていると思うのです。私は、どんなに苦しいときでも、水木と別れたいとは思いませんでした。
どんな生き方を選んだとしても、最初から最後まで順風満帆の人生なんてあり得ないのではないでしょうか。人生は入り口で決まるのではなく、選んだ道で「どう生きていくか」なんだろうと、私は思います。
武良布枝『ゲゲゲの女房』あとがきにかえて 本文 より
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