土佐人 2015-05-26 05:15:51 |
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ギギは、これこそが最後の餞別なのだ、と自分にいいきかせながらも、こんなことをしなければならない自分の運命に、涙を流してしまった。
『……伯爵も可哀想……』
ギギは、ショルダー・バッグひとつで、夕方の道路に出た。
守衛と管理人が、車はいいんですか、ときくのを笑ってかわすと、坂道をズンズンと下っていった。
『アデュー!……わたしのパトロン。わたしは、死ににいくのかもしれません』
そんな言葉を頭にならべるギギに、午後の暑さを想像させる陽光が、降りそそいでいた。
小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』(中)9 アンダーウェア オン ザ ベッド 本文 ギギ・アンダルシア より
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