土佐人 2015-05-26 05:15:51 |
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龍馬は笑った。
「ただの脱潘浪人!坂本龍馬ぜよ。明日から当分は江戸を離れるけんど、覚えちょってくれんかよ!」
振り返った野風からは、不思議に張り詰めたものが消えていた。幼い頃から敵ばかりの中で気を張り詰め、強情の上に強情を重ねて生きてきた花魁の心を、たった一言で解きほぐす。そう、間違いなく、彼は坂本龍馬だった。
「坂本龍馬様……しかと覚えておくでありんす」
微笑を浮かべ、野風は言った。
小説『JIN-仁-』信の章 本文 坂本龍馬 野風 より
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