匿名 2015-05-21 11:51:21 |
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すまん。_…淹れ直して来よう
(やはり、と言うべきか、返ってきたのは不満も一切滲まない明るい口調。こうして息をするように相手を気遣える彼の事は素直に尊敬するし、有り難いとも思う。相手の側に居て息苦しさを感じないのもきっと相手の気遣いがあってこそだ。そういった普段の感謝の気持ちを込めながらぽつりと上記呟けば相手が置いた盆を取り上げる様にして立ち上がり。相手と居ると確かに気が安らぐ。けれど、相手と居ると時折自分が自分ではなくなっていく様な感覚に襲われるのだ。一先ずこの場から離れるための口実を淡々と告げれば、そのまま部屋を出るべく障子に手をかけて。心に貯めておいた想いを吐き出し身を引こうとした瞬間、心地よい窮屈感と温かさを感じれば驚きに何度か目を瞬かせて。相手の声がすぐ側で聞こえようやく今の状況を理解するとぶわりと身体中に走る熱を誤魔化すためぎゅう、と相手の服を握りしめ。どくどくと早鐘を打つ心臓が煩わしい、それなのに、このまま相手の腕に捕らわれていたいと思うなんて。自分はどうしてしまったのだと混乱していればふと唇をなぞられる感覚に顔を上げ。息する間も無くそのまま相手に口付けられれば頭の中が真っ白になってしまったのかピタリと動きを停止させ。その瞬間、カチリ、と頭の中のどこかで何かスイッチの切り替わる音がした。相手を押し倒すべく肩に手を掛けたところで、ハッとしたようにその身をはがす。「…っは、こら、誰か来たらどうする」今、自分は何をしようとしていた?考えるだけでも頭が沸騰しそうで早々に思考を打ち切れば相手と自分、その両方に向けてそう言って。自主的に自分の部屋に来る人物など相手を除けば主くらいであるが、その主に見られるのが一番問題だ。未だに五月蝿い胸の辺りを掴みながらじっと相手を見据えれば内心自分を叱咤しておいて
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