匿名 2015-05-21 11:51:21 |
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嫌いでは、ない。
(微笑みながら再度己が好きだと言う相手。その言葉が、声が、動作が、一々麻薬のように自分の身体中を甘い痺れとなって走り抜ける。相手を想う気持ちは自分とて同じだ。いや、むしろ自分の方が相手に依存してしまっている気がする。相手が居なくては生きていけないと本気で思えてしまう程には自分は相手に惚れ込んでいるのだから。しかし、そこまで愛しいと思っているにも関わらずぽつりと零れ出るようにして出た言葉は到底相手が望んでいるであろう物とは程遠く、また、自分の気持ちとも離れている台詞であった。今はこれが精一杯といえど、どうして自分はこう肝心な場面で素直になれないのだろうか。そうは思うのだが今さらそれを直す事など出来ないだろうし、直すつもりも無い。居たたまれなさから膝の上に乗せた拳を握ると畳へ視線を落として。そんな時。不意に己の額に触れた熱にびくりと小さく肩を揺らすと先程拳に込めた力を強めて。まるで全身が心臓になってしまったような感覚に再び頬が燃える様に熱くなる。ここで何もせず相手に流されるなど、それこそプライドが許さない。キッと相手を見据えた後決心したように目を閉じると相手との距離を詰め、その耳元を掠めるようにそっと相手の右耳に口付けて。慣れない事はするものではないな、と緊張のあまり麻痺してきた頭の片隅で考えながらも再び相手の耳元へと顔を寄せればまるで相手を甘やかすような声音で「_好きだ」と、改めて己の気持ちを発して
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