匿名 2015-05-21 11:51:21 |
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……物好きな奴め。
(始めこそ腕を組み威圧的とも取れる様子で相手を見ていたのだが、相手の言葉を聞くと次第にきょとん、とした顔付きへと変化して。予想外であったのか驚いた様に数度瞬きすればゆっくりと脳内で情報処理を始め。やがて相手の言葉の意味を理解すれば柄にもなくぶわりと身体が熱される感覚に思わず口元を覆い、顔を逸らして。何か取り繕われている気もするが、だとしても自分を好いてくれているのだと他でもない相手自身の口から聞けたのは喜ばしい事である。そんな回答が来るとも思わず油断しきっていたからなのか、こんな事であっさり熱を持ってしまった頬が恨めしい。ここで上手く甘言蜜語のひとつでも吐ければ良いのだろうが生憎そんな事が出来る性分ではない。こんな愛想の無い自分と交際してくれるとはやはり相手は余程のお人好しなのか、それとも。そこで思考を打ち切り逸らした視線を再び相手に向けては素直な感想を述べて。手袋越しに感じた相手の温度に反射的に手を引きそうになるのをぐっと堪えていれば次いで優しく髪を撫でられ気恥ずかしさに唇を噛んで。普段頑なに張っている筈のプライドがこうした相手の行動一つ一つで少しずつ剥がされてゆく。珍しく相手と二人の時間、今くらい、感情の赴くまま甘えてみてもいいだろうか。暫し迷う様に目を泳がせた後、目を伏せながらそっと相手の手に擦り寄れば「…もっと」と小さく要求して
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