主 2015-05-01 20:14:43 |
通報 |
>鹿実
——君、笑っていないほうが綺麗だよ。
(構図はどうしようか、彼の赤が映えるものがいい、言い終えるや否や瞼の裏のキャンバスに空想を膨らませていたため予想外の返事に首を傾げ。相手の言葉は耳に入っているものの気を惹かれるのは普段笑顔に隠されがちな葛藤や躊躇いの表情で、掴み所のない彼の珍しくわかりやすい感情を見ているうちに唐突すぎる言葉が零れて。嬉しそうにニコニコ微笑み相手の頬を包み込むと「鹿実の言う通り。君の絵が出来上がったら、俺は本物の君よりキャンバスに描かれた君に夢中になるかもしれない。絵ならずっと一緒にいられるし、話せないかわりに嘘を吐いたりもしないから」ほんの冗談のつもりだが、口にしているうちに恍惚とした感情が沸き上がってきて。嗚呼何て素晴らしいアイデアだろう、相手の瞳に映る己は子供のように純粋な喜びを浮かべており唇が触れてしまいそうなほど顔を近づけると「…でも、この目は絵の具じゃ描けない。それだけが残念だなあ」目のふちに親指を滑らせる動きは相手の眼球を強請っているようで、嫌がる相手の意思など忘れて自分の思いつきに陶酔しており)
トピック検索 |