桃亜 2015-04-30 21:55:36 |
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「……暑い。」
照りつける太陽に汗を流すと、
「だなー。」
と作り笑いをする学級委員。
俺は夏の今日、磯貝と汗を流しながら
学校から下校していた。
たまたま近所の叔母さんが
「カルマ君、これ。」
と野菜をたくさんくれたもので、
貧乏な磯貝に分けてやろうと一緒に帰っているところだ。
すぐに野菜を渡してクーラーのついた家で
リラックスする予定だったのだが、そう簡単にはいかなかった。
「おい赤羽、お前が俺のダチに怪我させたのか?」
途中、不良に絡まれたのである。
「はぁ?知らないんだけど。」
磯貝もいるんだし、喧嘩はしたくなかった。
色々面倒だし、ダチに怪我させた覚えはないから。
そんな訳で口答えをしていると、
「カルマ・・・ヤバイぞ。」
と磯貝が言ってきた。何がヤバイんだ。
辺りを見渡すと、その意味が分かった。
囲まれていたんだ、不良のアイツ達に。
「はぁ、面倒くさいな。」
すっ、と切り替え喧嘩の体制をとる。
余裕で勝てるなと計算していたが、
そうだ。……磯貝がいたんだ。
今日磯貝は訓練で怪我をした。
その状態で体を容易に動かして、逃げたり攻撃できる訳がない。
それに不良達の狙いは明らかに磯貝だ。
ダチに怪我をさせたから、こちらも
という訳だろうか。
・・・ヤバイ。俺は平気でも、磯貝が。
磯貝は自分が狙われていると分かっているらしく、
額に不安の汗が流れている。
怪我した足を隠すように、後ずさりをした。
「ねぇ、俺に怪我させるのは良いけど
この人(磯貝)には手を出さないでよ。」
弱気な発言をすると、奴等は笑った。
殺せんせーから教えてもらった
プライドの置き方を否定された気分。
どうしよう。このままじゃ・・・
その時。磯貝が急に俺の方へ急接近してきた。
「………え?んんッ!///」
口に奇妙な感覚が広がる。
ただでさえ暑いのに、俺の顔を真っ赤にさせた。
……キスされた。
不良達はあまりに驚き、
気持ち悪いと言って俺達から散っていく。
息をしようと磯貝から離れ、しばらく
頭が真っ白の状態が続いた。
おそらく磯貝は不良達から離れる
最善策をしたのだろうが、
俺には逆効果だ。何するんだよ。
磯貝はため息をしたあとに
「ごめんな。」
と謝って来たが、俺はこう言った。
「許さないよ、あんな中途半端なキス。」
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