うそつきぴえろ。 2015-02-26 22:24:07 |
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・story
ダウト、というトランプゲームを御存じだろうか。
最低人数二人の、複数人でプレイするトランプゲームである。
ルールは至って簡単。
複数人のプレイヤーの中で順番を決め、その順番通りに「エース」から「キング」までの、ジョーカーを抜いたトランプを場に出す、というもの。
最も早く手札が無くなったプレイヤーが勝ちとなる。
そして、ここからがこのゲームの醍醐味、「ダウト」というコールをすることだ。
「ダウト」というのは「疑う、信用しない」という意味である。
このコールを何処で使うのかというと、「自分以外のプレイヤーが、順番に合っていないカードを出したと思ったとき」。
例えば貴方が10のカードを出すとしよう。
しかし手元には10のカードが無い…。そういうときは「嘘」をつき、10でないカードを出す。
その嘘が見破られ、他のプレイヤーに「ダウト」とコールを掛けられたら、貴方はその場に出されていたカード全てを回収しなくてはならない。
ということは逆に、嘘が見破られなかったら貴方はそのまま涼しい顔をしてゲームを続けることが出来るのだ。
成功したら天国、失敗したなら地獄。
互いに互いを疑いあい、模索しあい、観察しあい、疑心暗鬼になりながらプレイするトランプゲーム。
それがこの「ダウト」である。
某県某市では、「ダウト」の県大会が行われていた。
沢山の者が参加した地区大会、更にそこを登ってきた猛者たち。
しかし、そんな猛者でさえも呆気なく負かしていく人物が居た。
彼の名は「ピエロ」。その名の通り、ティアドロップのフェイスペイントを施し、道化師の格好をしている。
彼は地区大会から県大会まで一度も負けることはなく勝ち上がり、県大会で優勝した。
彼は不敗と呼ばれた。伝説と呼ばれた。
あまりの強さに精密機械なのではないかと囁かれた程だった。
ピエロは全国大会に出場し、例の如く決勝戦まで楽々と上り詰めた。
決勝の相手もきっとすぐに倒せるのだろうと思っていた。
しかし。
対戦相手の内二人は確かに負かせられるレベルだったものの、もう一人は違った。
ピエロが思い付かないような戦略で、見る見る内に手札を減らしていく。
ピエロは思った。
「勝てない」と。
「 __ダウト。 」
実況者がわざとらしい大声で叫ぶ。
「ダウト全国大会、優勝者は……、なんとあの不敗と呼ばれるピエロをも倒した彼!!"__"だああ!!!」
観客席が有り得ない程に盛り上がった。
そのときピエロは初めて、敗北を知った。
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