白虎 2015-01-24 07:18:32 |
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«物語»
物語の始まりは10年前に遡る。
神妖町でも指折りの資産家、一ノ瀬の一族が皆殺しにされた。
一ノ瀬家は欲深く狡猾で町人に嫌われていたとは云え、惨たらしいものに同情を覚えた者も居たそうだ。然して、側には人型の紙が2枚、落ちていたという。
其れを皮切りに次々と辻斬りやら物盗りといった下手人が増え、必ず其処には人型の紙が落ちていたそうだ。
人々は祟だと恐れ、市井の活気も衰えていった。
そんなある日、絶世の美女、という言葉が似合いそうな20歳前半程の女性が「神代」の元に現れ、当主にこう、囁いた。
“下手人を見つけ出したいのですね…?いいでしょう、お手伝いさせて頂きますわ…。”
其の言葉に頷かなければ、あんな悲劇は起こらなかっただろう。
今悔いても致し方無い…、意味の無い事だけれど。
「神代」の当主は美女に言われた通り、4つの一族の人間を1人ずつ、異なる方法で殺めた。刺殺、撲殺、磔刑、惨殺。然して、死人の傍らには人型の紙を1枚、血だまりに置く。誰にも見付からない様に、ひっそりと…。
其れから直ぐに9歳から16歳の4人の子供が神妖町から姿を消したのである。
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