ヌシ 2014-12-26 21:17:49 |
通報 |
…助かります(早速慣れた手つきで彼がハンカチを水に浸すのを目で追えば、その指先の行き着いた先は洗濯機で、くすぐったいような小さな笑い声と共に発せられた科白は多分、冗談。面白い返しが出来ないのは自分の短所だと自覚しているものの、だからこそ拭えない苦手意識を噛み潰すかのようにごく僅かに力を入れた表情筋の動きは相手に伝わったろうか、それとミスマッチな神妙な頷きと共に上記の感謝を意味する言葉を述べ。意味も無く尖った両膝を片手で一度ずつ払ってから立ち上がれば、思いがけない申し出に、ええと、と口籠もる。大掃除をする訳じゃ無し、落ちて来た物と埃をどうにかするだけだ、昼休みに入る前にすぐ終わってしまうだろう、「いや、そんな大事にはなってないから。気持ちだけ受け取っておきます」と遠慮し、ハンカチは放課後取りに来るがもし会えなければ保健室に置いておいて構わない旨を伝え、それじゃあ失礼します、と小さく会釈し扉に手を掛けて。さすが養教と言ったところだろうか、やや強引だが気も利くし、何を前にしても怯まずあのテンポで堂々と対処するのだろうと想像できる。矢張り自分には少々あくが強すぎると感じてしまうがそれは自分の問題で。客観的に見れば好感が持てる人物なのだと知り、それが彼の仕事だとは解っていても律儀な性格上お礼をしなければ、と思い出したのは彼が自動販売機に向かっている最中に鉢合わせたことで。職員室には職員のためのコーヒーメイカーが設置してあるが、そこではなく自販機に用があったのなら、生徒向けに甘くカロリーもある飲料ばかりが揃ったそれから選んでいいのだと踏んで、準備室に戻る前に差し入れようと一人頷き)
トピック検索 |