風人 2014-11-30 06:00:58 |
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選択肢が増えるのは良き可能性と悪い可能性も同時に秘めている。
天城雪彦は『ブレイズメス1990』では当初は頑なに日本行きを拒む。自分にとって不本意な選択をすることもあるからと世良先生に言う。
やや達観した視点を持っているのも天城雪彦の特徴のひとつ。
バブル三部作は近くて遠くにある未来の水平線とより近くて現実にある足下のふたつを描く視点がある。足下さえ見てない人間が未来を語る資質や資格がないと読者がいる“現実”に警鐘として伝える趣旨もあるかのように……。
『桜宮サーガ』の世界でもバブル時代は遠い出来事ではあるかもしれないけど『田口白鳥シリーズ』を含めた他シリーズにも何らかの影響は伝わっている。
高階病院長、藤原看護師、黒崎教授、世良先生たちは少なくともその時代を生きたから何かしら田口先生や今中先生に伝えたいものがあるのかもしれない。
黒崎教授の『凱旋』での速水先生への葛藤、本心の打ち明け、『弾丸』のコメディリリーフな役割などは80年代後半から90年代前半などいまのドラマにも通じる二枚目半(もしくは三枚目?)的なリアクションはそういう時代を彷彿させなくもない。
当初、黒崎教授は悪役かなとも思ったけど“必要悪”の側面を持つ対立軸を院内に持たせる人物でもあった。高階病院長や速水先生への複雑な思いや確執はあるだろうけど必要以上には悪役には徹しない潔さが黒崎教授にはある。
それもまた内に秘めた格好よさであり愛される人物。
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