【】 2014-11-28 22:58:47 |
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なんじゃあ。別嬪じゃろう。
(別嬪という言の葉に可笑しそうに笑う彼を見、また己を指さして。其から噴き出すのを我慢していたが、堪えきれなくなった様に、ふはっと笑ってしまって。己の事を別嬪と言った事に自分で面白味を感じているのだ。
一頻り笑った後、長い息を吐いて落ちそうになっていた羽織を直した)
(彼が、自分と同じ様に吹き出すように笑った。"彼と同じ"という事が、どんな事柄であっても嬉しく思う。其程自分は彼が好きで……愛していて……言い方を変えれば、依存してしまっているのであろう。しかし彼になら構わない。痛みも苦しみも、長年の間分かち合ってきた彼になら_____。
握る力が強くなった相手の手を見てから、ゆっくりと視線を愛しい彼の顔へと戻していこうか)
…そりゃあ、俺もおんなじじゃ。
御前さんは、見とると飽きんからのぅ。俺の手を握ってくれれば、其だけで十分じゃけぇ。
(今度は彼の手が自分の頬を優しく包む。何処か見惚れるように彼の表情を目を細めて見つめていて。「馬鹿者。言わんくても分かるじゃろう」愉快そうに笑っているも、次に額を襲った衝撃にうっと声を上げる。荒々しい仕草ではあったが、彼らしい仕草だった。…力が強めな所も彼らしいと言えるだろう)
…済まんな。どうも、雨だけは好かんくてのぅ。
(本当なら此のまま歩き続けることが妥当なのだが、自分にとって雨は、雨だけは嫌いなのだ。髪にまとわりつく雫を振り払っていれば、不意に己の上に出来た影。彼を見遣れば静かに笑う。"ありがとう"とは口にしなくとも、彼にはきっと伝わる筈だ)
……臙脂、御前さんと初めておうた日も、こんな雨の日じゃったのう。
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