【】 2014-11-28 22:58:47 |
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(何処か満足気なその表情を見ながら、今はまだ彼の傍に居られる事に安堵して。生きなければ、と強く思う。名残惜しそうに離れていく手を、また温めてやれる様に。そう考える頭の何処か片隅で、ただその手を離せないのは己の方だ、と醜い心が叫んで止まない。最期は、この手を――)
別嬪……
(くは、とまた吹出す様に笑う。曇った心に晴れ間を作るのは、いつでもお前なのだ。
引く手をぎゅ、と握り、相手へちゃんと伝わる様、はっきりとした口調で言葉を紡ぐ。)
まァ、幸せ者ってのは否定しねェよ。楽碧、お前が居れば。
(切なさに眉根を寄せる彼に、極々小さく舌打ちをして、髪で隠れたその額に手を伸ばす。「テメェは幸せじゃねェのかよ?」と己がその表情をさせたという事は棚に上げて、彼の額を軽く指で弾こうか。鬼の血を引くため、その力加減も少しばかり強いかもしれないが。)
……降り出したな。ここまでは人間達も追って来ないだろう。
何処か…休める所を探すか。
(雨は嫌いじゃない。湿った土の匂いと、静かに降る雨は、優しくて心地よい。
ふと彼を見れば、猫の様に耳を伏せてのしかめ面。九尾の彼に雨は不快感でしかないだろう。
その様子が可愛いとも思ってしまって、小さく感じる罪悪感に己の袖で彼の頭を覆う。せめてもの償いのつもりで。)
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