猫柳 2014-10-31 22:41:03 |
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《10》
・・・
あれから、何年が経っただろうか。
ずっと昔にできた初めての友人のことを、僕は今もよく思い出す。僕にとって彼は特別な存在だった。そしてそれは今も変わらない。
あれからと言うもの、現在 齢17の僕には、友人と言える存在はできなかった。勿論、会話ぐらいはするのだが、友人らしく登下校を共にしたり、一緒に何処かへ出掛けたり等はしなかった。
昔からそうだった為か、寂しくも何ともなかった。ただ、“友人”と聞くと、あの昔の少年の彼が脳裏に浮かび、そして後悔が頭を擡げることがよくあった。
__彼は元気にしているだろうか。あの日、走ってでも彼の家に行って、伝えれば良かったな…。
自分の中では大切な存在の彼。だがずっと昔のことだった為か、名前が思い出せなかった。
名前は忘れたけど存在をしっかり覚えている僕。だけど、彼は僕の存在自体忘れているかもしれない。なんて、そんなことを思うこともあった。
もう一度、彼に会いたい。
昔離ればなれになってしまってから、ずっと抱き続けてきた小さな願い。
そのささやかな願いがついに叶うことを僕はまだ知らず、今日も退屈な一日を過ごすのだった。
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