猫柳 2014-10-31 22:41:03 |
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《8》
「典明!」
「あぁ良かった、無事だったのね!」
消火されていくのを見ながら、ただ呆然と立ち尽くしている花京院の元へ駆け寄る二人の男女。
花京院の両親だった。
「お父さん、お母さん、これって…?」
「お隣さんの主人が煙草の火を消し忘れて眠っちゃったみたいでね、火事になって燃えちゃったらしいの、お母さんたちの家も。」
母親の白くほっそりとした綺麗な手が、花京院の頭を優しく撫でる。
花京院は、物事の考え方等は何処か大人らしいところがあるのだが、実際はまだまだ子供。母親の手から伝わる暖かさと優しさに表情を綻ばせると、嬉しくなりへらりと柔らかな笑顔を浮かべた。
すると先程まで携帯電話で誰かと通話をしていた父親が、母親と花京院の方を向いて微笑みかけた。
「安心しろ典明。家は燃えてなくなってしまったけど、おばあちゃんが家に来なさいと言ってくれている。これからはおばあちゃんの家で暮らせるぞ。」
「まぁ、あなた本当に? 助かったわ!」
「あぁ。…ただ、今からでも出発しないと夜までに到着できない。」
花京院は思い出す。
__待って、明日は承太郎くんと遊ぶんだ。今からなんて行けないよ。
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