猫柳 2014-10-31 22:41:03 |
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《2》
「ねぇ、君の名前は?」
「…花京院、典明。」
「典明くんか、僕は承太郎って言うんだ。空条承太郎。」
「…ふうん。」
人の居なくなった小さな公園
空には美しい夕焼け雲がゆっくりと流れている。
無人の公園のベンチに腰を降ろしぼんやりと空を眺める少年、花京院に声を掛けたのは、同じくらいの歳であろう少年、承太郎だった。
承太郎は花京院の隣に腰を掛けると、優しく穏やかな笑みを浮かべた。
「承太郎って呼んで良いよ。」
「承太郎くん、君は家に帰らないのかい?」
「うん。でも、僕の家はすぐ近くだから。あれだよ!」
承太郎は依然にこにことしたまま、此処からすぐだという自宅を指さした。
普通の住宅より2倍、3倍も大きな、風格のある大きな屋敷だ。まだ幼い花京院も、承太郎は裕福な家で育っているんだということが解った。
「へぇ、大きいんだね、君の家。」
「うん大きいよ。いつか遊びに来てよ!」
「うん、いつかね。」
実はというと、花京院にはそんな気は微塵もなかった。
__どうせこの人も、仲良くするフリして陰で僕のことを悪く言うんだろう。
それか独りぼっちの僕と仲良くなるフリして優越感に浸りたいだけなんだろう。
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