ハナミズキ 2014-10-10 16:57:40 |
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「私はこの国の第1皇子だ!その私の命令が聞けないと言うのか!」
「残念ながら、私たちは自分の信念の下に治療を行っているので、誰の命令も聞く
訳にはいきません。
それが例え王様であったとしてもです。
もし、無理やり命令を聞かせようとするなら、私たちはこの国を去ります」
生まれた時から、次期王となる為の教育を受け、周りの者みんながソウレンの命令に従っていた。
今まで自分に反論する者は居ても、命令を聞かない者など居なかったのだ。
そんな生活に慣れてしまっていたソウレンは、鈴のような人間が珍しかった。
自分の使命の為なら、一国の王の命令も聞かないと言う、真っ直ぐに相手の目を見据え凛とした姿勢を崩さない、そんな鈴に興味を引かれた。
「母上は本当に無事なんだろうな」
「何度言えばわかるんです?」
「せめて、一目だけでも姿を見たい・・・頼む・・会わせてくれ」
少々弱腰になり、『頼む』と言う言葉を聞いた鈴は、にこりと微笑み言った。
「そうよ。初めから『お願いします』って言えば、私だって鬼じゃないんだから考えて
あげたのに、いきなりやって来て『車の中に入れろ』とかは人として論外よね。
初対面の人に対して礼儀がなってないわ。
私はあなたが誰かも知らなかったのよ?
もしあなたが暗殺者だったらどうするの?
そんな得体も知れない危険人物を、私が中に入れるとでも思って?」
そう言われればそうかも知れないとソウレンは思い、自分が無礼だったと鈴に謝るのだった。
「申し訳ない。いままでの非礼は許して欲しい」
素直に非を認め、謝るソウレンを見た鈴は、親を思う子の気持ちも分かるので、中に入れてあげる事にした。
「しょうがないわね、あまり長い時間は王妃様の体に障るから、10分だけよ?」
「入っても良いのか?!」
「ただし!私の言う事はちゃんと聞いて守ってもらいますからね」
「約束しよう」
そうしてソウレンは鈴に連れられて、車の中に入って行った。
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