ハナミズキ 2014-10-10 16:57:40 |
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第5皇子ファンミンの容態は一進一退で、なかなか熱が下がらない。
しかし、治療を始めてから3日目、朝方になりようやく熱が引き始めてきた。
熱が下がると、子供の回復力はとても速い。
1週間近くも飲まず食わずだったにもかかわらず、お昼頃には布団から起き上がっていた。
王様や王妃様、それにティガン医師も驚いている。
「なぜファンミンはこんなに元気なのだ?」
「それは、この点滴と言う物のおかげです。
この袋の中には、人間が一日に必要なエネルギーの最低限が入ってますので
お腹が空くと言う事はありませんから」
「なんと便利な物だ。早速それを作らせよう」
「王様。それは出来ません。
これの中身を作るには、その機材が必要になります。
しかし、その機材は、ここ鮮朝国にはありませんし、機材を作るにあたって必要な
材料もないので無理です」
「では、その材料とやらはいったい何処で手に入るのだ」
鈴はしばらく考えた後に、言葉を選びながら答える。
「私たちの国でなら可能ですが、私の国は遥か遠くにありますので、取り寄せるのは
無理なんですよ。
ですが、似たような物なら作れますよ。
それでいいのならお教えしますが」
そう言うと、ティガン医師にその作り方を教える。
そして、腕の良い職人を集め、針と管を作らせた。
しかし、それはあまりにも細く、精密さや正確さを追及され、匙を投げる職人が続出する。
腕の良い職人と言っても、所詮は自称『匠』なのか、それ程腕がいいとは言えないだろう。
根気も無ければ追及心もない。
ただ見栄えよくできればそれでいい、そういう人がほとんどであった。
したがって、点滴用の管と針を製作するには、かなり時間がかかりそうだ。
王様には諦めてもらうしかないだろう。と言う事になった。
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