ハナミズキ 2014-10-10 16:57:40 |
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日も暮れ、夜になると、診療所のみんなが心配しているので、1度帰して欲しいと言う。
もし明日も帰れないとなれば、着替えや薬剤も足りなくなる。
それらを持って来たいので、戻りたいと言い出した。
「もし、そなたが診療所に戻っている間に、病状が悪化したらどうする」
王様がそう言うと、鈴は側に居る医者に目を向け言う。
「ティガン先生にも、治療のやり方を教えたので出来ると思います」
王様は、ティガン医師の方を見ると、ティガンは「お任せ下さい、王様」と、言った。
王様は二人の言葉を信じ、鈴を一度診療所に戻すのであった。
診療所に帰ると、往診から戻って来ていた和也と他のみんなが、一斉に聞いてくる。
「いったい何があったんだ」
「大丈夫でしたか?!」
「良くご無事で・・」
バジルは、鈴に抱き付き「鈴せんせ~」と、半分泣きながら離れない。
鈴は簡単に説明をすると、道具を持ってまた行かなければならないと言う。
幸いな事に、いま診療所には入院患者が居ない。
夜道の一人歩きは危険だと、和也とウンデグが一緒に付いて行く事にする。
が、ここで鈴が少し気がかりな事を和也に告げた。
「何かあったのか?」
「王妃様の事なんだけど、あの方、少し心臓が悪いみたいね。
検査をしてみないと何とも言えないんだけど、顔色も良くないし、呼吸も時々
荒く感じたのよね」
「どうする気だ」
「そうね、第5皇子の容態が落ち着いたら、この車両を王宮に持って行こうと思うの。
隠せそうな場所を見つけたから、夜にでも運ぼうかと思って」
「分かった。その代り、俺も行くからな」
「当然でしょ?!一人でなんて出来ないわよ」
笑ながら鈴が言った。
そして鈴はウンデグに、自分が戻るまで、朝と晩に点滴を届けるように言う。
他に必要な物が出来れば、その都度手紙を書いて渡すと言い、王宮の門の中に消えていった。
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