ハナミズキ 2014-10-10 16:57:40 |
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次の日の便で急いで華国に入り、そこからは用意されていた車に乗り込み、朝国に行った和也だったが、あまりの惨状に目を疑った。
地震災害での召集だったが、キャンプの中で横たわっている人は、怪我人だけではなく、明らかに栄養不足で動けない人たちの方が多かったからだ。
建物も倒壊はしているが、あばら家が壊れたような感じにしか見えない。
多くの人々は、食べ物を乞うために路上に居たため、それほど酷い怪我はしていないが、動けないで家の中に居た者達が大怪我を覆っているようだった。
体力が無い分回復は遅く、家を失った者達のために、炊き出しや怪我人には包帯などを取り換えると言う作業が和也を待っていた。
そんな和也の焦る気持ちとは裏腹に、鈴達二人を探しに行く暇など無かったのだ。
そうしている間にも時間は刻々と過ぎて行き、和也が朝国に来てから1週間が経とうとしていた。
朝早くから炊き出しの準備をしているボランティアの人の側に行き、地震の時の事を聞いてみた。
「あの時は不思議でしたね。地震の直後に白い霧が地面から出たんですよ。
そして、そこにあった車両を包み込むように覆ったかと思ったら、霧がだんだん
晴れてきましてね、そうしたら・・・車が消えてたんですよ・・・」
「車でどこかに避難したとかではないんですか?」
「それは無いと思いますよ。ごらんの通りここは見晴らしが良いですからね。
移動をしたなら霧が晴れてから見えると思うんですよ。
精々1分ほどの出来事でしたから。
それに、霧自体が車の周りにしか発生してなかったですし・・・」
その話を聞いた和也は、車両が消えたと思われる場所まで移動し、辺りを見回した。
すると、突然余震が起きたのだ。
上下に揺れる余震と共に、さっきボランティアの人が言っていたように、地面から白い霧のような物が出始める。
その霧にすっぽり包み込まれるように、和也は霧の中へ消えて行ったのだった。
遠くで誰かの悲鳴が聞こえていた様な気もしたが、左右前後の間隔が無くなり、今は動くのは危険だと判断をし、その霧が晴れるのを待つしかなかった。
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