ハナミズキ 2014-10-10 16:57:40 |
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出来上がった食事を、今日やって来た希望者全員に振る舞い、どれが一番おいしかったのかを聞いてみると、指示より先に行動をしていた、女性の作った物が一番おいしかったと言う。
そうして残り2人の人員が決まったのである。
「では、採用する方を発表いたします。
一人目は、外周りと力仕事が主な仕事にはなりますが、往診時にもついて来て貰う
事になります。
あなた、お名前は?」
鈴は代替え人の男の前に立ち、名前を尋ねる。
「チャンシ・ウンデグと申します」
「では、いつから来れますか?」
ウンデグは、自分が採用になった事に驚いた。
自分より身なりが綺麗で、賢そうな人が他に居るにもかかわらず、なぜ自分が選ばれたのか不思議だった。
「今からでも大丈夫です!」
「えっ?着替えとかの荷物はどうするの?」
「あっ・・・・」
鈴はクスクスと笑いながら、ウンデグに言う。
「夕方までには準備をしてここに戻って来てちょうだいね」
「分かりました!」
そう言うと同時に、ウンデグは走って家に着替えを取りに戻るのであった。
「次に、患者の世話係ですが、あなたにお願いします」
鈴は、子供が転んだ時に、一緒に水を汲みに行った女性の前に立ち言う。
「お名前は?」
「はい。ミン・シュンイと申します。」
「あなたはいつから来れるかしら?」
「今日から来れます!有難うございます!」
そう言って、彼女も着替えを取りに家に戻って行く。
残すは一人だ。
当然自分がその一人に選ばれるだろうと思っていた、指示を出し、人を上手にまわしていた女性が自信満々な顔でこちらを見ている。
鈴は、指示をする前に行動をしていた女性の前に立ち、その旨を伝えると、指示だし女性の顔色が変わり、金切り声で理由を聞いてきた。
「そうですね・・一番の原因は、あなたのその態度と声ですね。
ここは診療所です。
具合の悪い人が大勢やってきます。
その人達が、今の様に甲高い声で怒鳴るように話す人が側に居ると、治る病気も悪化
しかねません。
それに、ここでの仕事は、これから一人でこなさなければならないんですよ。
もし、シュンイの手が空いてるからと言って、シュンイの事を使われたら困りますからね。
シュンイにはシュンイの仕事と言うものがあるんですよ。
ですから、あなたでは役不足なんです。
人を回して使いたいのでしたら、他の大きなお屋敷にでも行ってください」
指示だし女性は、鈴に言い負かされ黙ってしまう。
そして鈴は、最後の一人に問う。
「名前は?」
「ハツ・ホウミンです」
「いつから来れますか?」
「明日でもいいでしょうか」
「明日?」
「はい。子供が居まして、子供たちを預かってもらう所を探したいんです」
「子供は何人いるの?」
「3歳と5歳の2人です」
「まだ小さいのね・・・いいわ。一緒に連れてらっしゃい」
「でも・・・」
鈴は子供の前に立ち、聞いた。
「あなた、子守は出来るわね?」
「うん。子守は得意だ!」
満面の笑みで答える。
「これで決まりね。君、名前は?」
「俺の名前は、チョ・バジルと言います。
有難うございます、お嬢様!」
これで全ての役割を満たす人材が決まった。
採用された者達には、夕方までに準備をして、またここに戻って来るように言う。
採用された者も、されなかった者も、皆この場から去っていった。
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