ハナミズキ 2014-10-10 16:57:40 |
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町を去ろうと決めた日に、数人の人が車の前に立ちはだかっていた。
このままでは車を動かす事が出来ないので、そこを退いてくれるように頼みに行くと、子供が高熱を出してもう5日も熱が引かず、医者からも匙を投げられてしまったと言う親子と、
喘息の発作を引き起こしていると思われる、子供を背負った親子に、急にろれつが回らなくなり、倒れてしまった母を診て欲しいと言う男性がそこに居た。
鈴はすぐさま他の2人に指示を出し、圭太が、熱が引かない子供をレントゲンにかけ、合併症がないかを確かめてから治療する。
和也は喘息の発作を起こしている子供を、注射と点滴をし、呼吸が苦しくないように酸素マスクをあてがっていた。
鈴はタンカを持ち出し、その男性と共に屋敷に向かい、患者を搬送して来た。
そして、車に乗せ緊急手術が始まったのである。
鈴達の元に来た患者の家族たちは、この3人の噂を知っていた。
呪術師ではないのか、いやいや、祈祷師ではないのかとか噂はされていたが、その噂通りに、死んだ者をも生き返らせる事が出来るならば、死にかけている命を救ってくれる事は簡単ではないのか、そう思い、藁にもすがる思いでここにやって来たのだった。
治療が済んだ二組の子供はベッドに寝かされ、今は容態が落ち着いている。
しかし、先ほどの若者たちは、鉄の扉の中に入って行ったままなかなか出ては来なかったので、男性は不安になり始める。
1時間。2時間。3時間経っても出て来ない。
不安になった患者の息子が大声で呼んでみるも、中からは何の返事も無い。
それから数分後、やっと鉄の扉があき、圭太が出て来た。
「もう大丈夫ですよ。手術は成功しましたから。
患者さんは2階に移りましたのでご案内します」
その言葉を聞いた男性は、安心をしたのかその場にへたり込んでしまう。
圭太は男性に肩を貸し、2階にあるベッドルームに連れて行く。
そしてそこには、頭に何重にも包帯が巻いてある母親の姿がそこにあったのだった。
「これは・・・いったいどう言う事だ・・・」
「大丈夫ですよ。ちゃんと生きてますから。
脳に出来ていた血管のつまりを取っただけです。
明日には目を覚ますと思いますので、ご心配なら一緒に泊まりますか?」
そう言うと男性は、自分は泊まらないが他の者を寄越すと言って帰って行った。
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