ハナミズキ 2014-10-10 16:57:40 |
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翌朝、炊き出しの為に積んであった大釜を取り出し、その中でおかゆを炊き、集落の住民に食べさせる事にした。
未来の米は美味しいのか、おかわりを懇願する者達が大勢いた。
大目に作っておいたので、集落の人全員がお腹いっぱいになるほど食べる事が出来たようで、鈴達も少しは安心をしたのだった。
ここの人達を見ていると、未来の朝国の人達を見ているようで悲しくなる。
高粱の人達の様に、夢も希望の無く、生きる気力さえも失われたような、虚ろな目にはなってほしくは無かったのだ。
ただ死にゆくのを待っている人。
自分が今日を生きるのに精いっぱいで、他人の物でも罪悪感無しに盗む人。
そんな未来にはさせたくなかった。
頑張って生きていれば、きっと手を差し伸べてくれる人が現れる、そんな未来を描いてほしかったのだった。
お腹が膨れると、それぞれ自分の家に帰り、家の仕事をする人や何処かに仕事に出かける人
と、貧しいながらも忙しい一日が始まる。
患者の抜糸をするまで約5日。
その間はこの場所を動けない3人だったので、1人を車に残し、後の2人は町に繰り出す事にした。
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