ハナミズキ 2014-10-10 16:57:40 |
通報 |
和也の暗殺に失敗をしたと報告を受けたソウレンが外に出てみると、鈴達の乗っている車が宙に浮かび、そのまま消えて行ってしまうのが見えた。
事の重大さに全く気が付いていないソウレンは、暗殺に失敗した者達を葬ってしまったのだった。
夜になり、診療所に戻った二人は、全員を呼び今後の事について話し出した。
「急で申し訳ないんだけど、この診療所は今後、あなた達に任せます。
今まで通り、バジルは内科的症状を見てあげてね。
ウンデグ、貴方は軽度の外傷なら技術を教えたわよね。
頑張ってちょうだい。
シュンイ、貴方には診療所内の全ての権限を与えるわ。
今まで通り、分け隔てなくお願いね。
ホウミン、貴方にはもっとも重要な任務をしてもらう事になります。
ここに今まで稼いだお金の全てが入っています。
これをうまく活用して診療所を運営して行ってちょうだい」
そう言って大きな金庫を差し出した。
「これはいったいどう言う事ですか?」
いきなり任せると言われた台所番のホウミンが尋ねる。
「和也が命を狙われてるの。
この国に居ては殺されてしまうから、私たちは遠い国へ行きます」
「遠い国とはどちらですか?」
鈴は少し考えた。
行先を告げずに行けば、ここの人達が拷問にあうかもしれない。
そんな事態は避けたい。
「私たちの祖国に行きます。行先は日本です」
この時代での日本の呼び名は『和国』だ。
『日本』と言っても差し支えは無いだろうと、鈴は本当の事を言った。
もし日本まで追って来たとしても、この時代の日本は戦国時代だ。
まともに上陸などできるわけがない。
それは日本史ですでに学んでいる事だ。
そして次の日の朝早く、2人を乗せた車両は、今日の目的地である南の領地『淡憐』に向かって飛んだ。
そこで一旦充電をし、夜になるのを待つと、再び日本へ向かって飛び立って行ったのだった。
着いた場所は『長崎』。
ここの港町でしばらくお金を稼ぎ、最終目的は京都である。
しかし、あの白い霧が発生した場所を後にした二人は、どうやって元の時代に戻るつもりなのか疑問である。
元の時代にはもう戻らないと決めたのだろうか。
そんな疑問は残るが、この2人の事だ、『なんとかなるさ!』で乗り切ってしまうのだろう。
また、機会があれば、その後の2人の様子でも覗きに来よう思う。
― 完 ―
トピック検索 |