ハナミズキ 2014-10-10 16:57:40 |
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貢物を毎日持たせていたソウレンは、使いの者が帰って来る度に聞いていた。
「今日はどうであった?」
「いつも通りお礼だけでした」
ソウレンは、「そうか・・」と溜息を付く。
そしてまた、義弟コウレンを呼び、再び意見を求める。
「贈り物ではなびかなかったぞ。他に良い手は無いのか?」
「そうですね・・・。何処か旅行に連れて行くと言うのはどうでしょう。
二人っきりで良い雰囲気にでもなれば、自然とそうなるはずです。
兄上と一緒に過ごせて嫌がる女人がいましょうか」
それもそうだな、と思ったソウレンは、早速鈴を旅行に誘う事にした。
お忍びで町の様子を見て回った後、診療所にやって来て鈴にその話を切り出す。
「この日照りで、北の領地が水不足になり、病人も大勢出てるそうだ。
鈴、私と一緒に行ってはもらえないか?」
ソウレンは、鈴が最も「YES」と言うだろうと思われる言葉を並べて誘ってみた。
当然鈴の答えは「YES」だ。
しかし、ソウレンの思惑とは裏腹に、一緒に行くのは鈴だけではなかった。
なんと、和也も一緒に行くと言うのだ。
なんとか鈴1人だけを連れ出したかったソウレンは、和也まで出かけたらこの診療所は誰が患者を診るのだと、必死に置いて行こうとしたが、普通の診療ならバジルに教えてあるので心配ないと言われ、結局は鈴と和也の2人が同行する事になってしまった。
付いて来ると言うものは仕方がないと言う事で、現地に着いてから二人きりになる時間を作ればいいと、安易に物を考えていた。
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