ハナミズキ 2014-10-10 16:57:40 |
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『やれやれ』と溜息を付きながら2階の戻ると、和也の機嫌がなぜか良いようだ。
何か良い事でもあったのかと思いながらも、あえてその事には突っ込まず、ソウレンの話しの事を切り出した。
和也は鈴の話を黙って聞いているだけで何も言わない。
「この時代の人って言うか、昔の人って平気で愛人になれとか酷いよね~」
「俺は、奥さんさえいれば愛人なんか作ろうとは思わないけどな」
「普通そうよね!?やっぱり昔の男の人の考えには共感できないや・・」
鈴は小首を傾げながら溜息をまたついた。
和也はおもむろに椅子から立ち上がり、鈴の頭を『ポンポン』と二つ軽く叩くと台所に向かい歩き出した。
そして内蔵されている冷蔵庫を開け鈴に聞く。
「鈴はリンゴジュースで良いのか」
「うん♪和也やっさしぃ~♪」
和也は鼻で笑いながら、「一応お前は病人だからな」と言うのだった。
でも、そのさり気無い優しさが、鈴にとっては何物にも代えがたい存在になりつつある事に、今はまだ気が付いていなかったのである。
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