ハナミズキ 2014-10-10 16:57:40 |
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「で?話しって何?」
ソウレンは少し間をおいて、慎重に話しを切り出そうとしたが、あられもない姿の鈴を目の前にしては、そんな事はどこかに吹き飛んでしまったようだ。
「鈴、私の側室になってくれ」
前に一度、命令形でものを言った時、えらく怒られた。
その過去を踏まえて、今回はお願いをするように言ってみた。
お願いをすれば側室になる事を承諾してくれると思ったからだ。
しかし鈴の答えは、その思いとは逆のものであった。
「側室って愛人って事よね?お断りします。」
次期王の側室になるのを断る人間が居るとは思わなかったソウレンは、「なぜ断る!?側室になれば贅沢をさせてやれるのだぞ!?」と、鈴に聞き返す。
「私は愛人になる気は無いわ。それに、あなたの事を愛していないもの」
「鈴が私の事を愛していなくとも、私が鈴を愛している。それではダメか?」
「ダメよ。それじゃ良い夫婦関係は築けないもの。
・・・あっ、夫婦じゃないのか。愛人だものね」
ソウレンはそれでもなを、鈴に側室になれと遠回しに言ってくる。
だが鈴は、愛人ではなく結婚ならするが、それでも価値観が自分と同じ人でないと嫌だと言う。
「価値観が同じか・・・それはもしかして和也の事を言ってるのか?」
ソウレンが聞いてきた。
「和也なら私と価値観が同じね。
それに、私の事を理解してくれようとしてる。
今の私には、和也はとても大きな存在だと言う事だけは確かよね・・・。」
鈴は自分に何かを言い聞かせるかのように答えた。
その話を2階からこっそり聞いていた和也は、小さなガッツポーズを取っていたのである。
2人の話しは平行線のまま決着がつかず、その日は良い返事を貰えずにソウレンは帰る事になる。
そして別れ際に一言。
「必ず『はい』と言わせて見せるからな」
そう言い残して帰って行った。
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