ハナミズキ 2014-10-01 16:30:45 |
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鈴の正体を知っている和也にとれば、それは当たり前の事で、何の不思議もなかったが、
他の二人にとっては、謎そのものでしかなかった。
解剖学が行われる時は、その手順や意味合いを、教授より解りやすく教えてくれ、更にその先の予備知識まで教える。
薬学の実験では、普通の人が知らない様な事まで知っており、その知識を惜しみなく披露してくれた。
そのおかげもあってか、鈴達のグループは、どのグループよりも成績が良かった。
そんな鈴に、最初は声にだけ興味を示していた圭太だったが、次第に、鈴自体に好意を抱くようになる。
圭太は、脳腫瘍を完治させた後の、最後の定期検診をするために大学病院の方に訪れていた。
待合室の椅子に座り、自分の番を待っている時に、白衣を着た鈴の姿をチラッと見たような気がした。
『・・・今の・・鈴ちゃん?』
まさかこんな所に鈴が居るとは思ってもみない圭太だ。
しかし実際には、鈴は圭太の経過を見にこの脳神経科まで来ていたのだ。
ついでに、他の患者の治療内容もアドバイスをし、次のバイト(手術)の予定を組むのだった。
まだ学生でありながら、若い医師達の指導医的な立場に立ち、熟練の医師達にも手術の手ほどきや新術の術式を教えていた。
そんな忙しく過ごす毎日だったが、この生活もなかなか悪いものではない。
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