ハナミズキ 2014-10-01 16:30:45 |
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僕が離島で仕事をしてみたいと思うきっかけを作ってくれた人なんだ」
「それはどう言う事なんですか?」
「あれは6年前。僕は医者としてのスキルアップのために、海外ボランティアに参加した事が
あるんだ。
その時に出会ったのが、彼女だったんだよ」
松田はその時の事を語り始めた。
ボランティアで、カンボジアの奥地に派遣された時、まだ経験の浅い若者で、日本人であったと言う事もあり、同じチームに鈴が配属されたのだった。
松田にしてみれば、まだ子供が何故ここに居るのか疑問だったが、松田と鈴以外はすべて外国人で、国もバラバラのようだ。
しかし、他のボランティアの人達は、鈴の周りに集まり、意見やアドバイスを乞うている。
そして鈴は、その人に分かり易いように、彼らの母国語で話していたのだった。
松田はそんな鈴の事を他のチームメイトに尋ねてみた。
「彼女はいったい何者なんだい?」
「知らないのか、松田。彼女があのDr,リンだよ」
Dr,リンの事は勿論知っている。
日本に居てもその名は聞いていた。
Dr,リンに不可能な手術は存在しないと・・。
しかし、まさかあの子供が?
松田がそう思ったのも頷ける。
その時Dr,リンこと鈴は、まだ17歳だったのだから。
ある時、地面に埋め込まれていた地雷を、誤って踏んでしまった少年が、巡回している仮設診療所に、吹き飛ばされた足と共に連れてこられた。
右足が片方吹き飛び、体中に金属の破片のような物が刺さっていた。
こんなひどい状態の患者は見た事が無かった。
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