ハナミズキ 2014-10-01 16:30:45 |
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しかし、この病院に若い男の先生が居るのが珍しいのか、院内を歩くたびに声を掛けられる。
特にご年配のご婦人方は、病室の前でも通りかかったものなら、手招きをして呼び入れ、あれも食え、これも食え、食べれないと言えば「持って行きまれ」(持って行きなさい)と言い、ティッシュに包んで持たせようとする。
和也はやんわりと断るが、シャイボーイこと圭太は、気の毒で断る事が出来なかった。
その為、毎日の様に何かを持たされ、患者に餌付けをされるのであった。
そして、そのご相伴に毎回授かるのが、鈴と青華なのである。
「うんうん。患者さんと仲良くなれると言うのも1つの才能なのよ。圭太」
モグモグとお菓子を頬張りながら、鈴が言う。
「そうなのかな?そうだといいな」
「考えても見なさいよ。圭太の方が和也より圧倒的に患者さんと接して会話してる時間が
長いでしょ?
その会話に中に、病気の症状がチラッと出てくるかもしれないじゃない。
例えばね、今日はいつもより腰が痛いとか、身体がちょっと怠いとか、そういう事を
普段言わない人が言ったら儲けものよ?
我慢強い人ほど何も言わないんだから。
そういう言葉を引き出せる人が、名医になれるんだから。自信もって!圭太!」
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