ハナミズキ 2014-10-01 16:30:45 |
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家に帰ってから、その日に見た患者のカルテの情報を、皆で検証するためだ。
青華が不思議そうに聞いてきた。
「同じ症状でもね、担当医によって微妙に治療法が違うのよ。
その少しの差が、今後どんな風に患者に影響を与えるのかっていうのをね、
個人で予測しながら観察をすると、今後似たような症状の患者さんに出会った時
治療の目安になるのよ」
「なるほどな。同じ病気でも年齢や体格差で微妙に違いが出てくるからな」
「さすが和也!その通りよ」
「フンッ」和也は鼻で返事をした。
圭太と青華は顔を見合わせ、苦笑いをする。
『この二人、仲が良いんだか悪いんだか・・・』
二人して同じことを考えていたのだった。
和也チームの一日は、午前中は病室回りの御供とカルテ整理、午後からは診療の助手をしていた。
そんな、とある回診風景での一コマ。
「真田さん(68歳)、今日は草薙先生に診て貰いましょうね」
「あきゃやだ、前田先生。
こらほど若い先生さ見て貰ったきや、妊娠しちゃうだばね」
訳(あらやだ、前田先生。こんなに若い先生に診て貰ったら、妊娠しちゃうじゃない)
診察を受けながら、なおも患者はしゃべり続けた。
「先生。うちのめらしのむごさまさだばねば?」
訳(先生。うちの娘の婿にならないかい?)
「?????」和也達には何を言っているのかわからなかった。
「でも娘さんとは年が離れすぎてませんか?」
前田先生が、真田さんに聞き返した。
「ぬらしは32歳したばって、姉さん女房さはちょうど良い年頃さ」
訳(娘は32歳だけど、姉さん女房には丁度良い年頃さ)
「32歳ならいいかもしれませんね」
それを聞いた和也は即答で断った。
「まだ学生の身なので、そういう事は考えていないですね」
「んだな?それは残念だきゃ」
訳(そうなのかい?それは残念だね)
ちょっとした外国に来た気分になっていた。
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