ハナミズキ 2014-10-01 16:30:45 |
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◆ 実習 ◆
5回生ともなると、普段の授業の他に実習が入って来る。
実習と言ってもこの時期は、まだ他の先生に付いて手術の見学をしたり、臨床(*)をしたりする程度だ。
(*この場合の臨床とは、患者の診察の事をさす)
見学で回る病院も、付属の大学病院だけではなく、郊外の病院や地方の病院に、3~4ヶ月のローテーションで行かされる事もある。
鈴は、この長きに渡る実習を、地方と離島の病院に実習に行く事を願い出た。
春は東北地方、夏は北海道、秋は沖縄、冬は付属の大学病院と、日本一周でもするつもりなのかと思うほど、幅広い移動区間だ。
普通の実習生は、大きな病院にて、病院の仕組みや序列の有無、それに、外科医志望なら、どれだけ多くの手術に関われるかを考えて、実習願いを出す。
それらを全て除外し、ただ一人だけ、鈴は僻地にある病院への実習願いを出したのだ。
が、蓋を開けてみると、大学で4年間一緒にチームを組んでやって来た、和也・圭太・青華も鈴に付いて行く事を決めており、学校側に直談判をし、許可をもらったのだった。
和也は勿論、この日本で一番腕の良い医者が鈴という事を知っている。
その鈴について学べば、何処の大学病院に行っても学べない医術があるので、鈴に付いて行く事に迷いは無かった。
他の二人にしても、教授に学ぶより鈴に教えてもらった方が解りやすかった事もあり、鈴と一緒なら何処の病院でも良かったと言うのが実情だ。
春。4人は一同東北へと向かう。
東京の大学から、わざわざ青森まで来た、変わり者の4人組は、青森中央病院でも話題に上っていた。
そして、様々な憶測も飛んでいたのだった。
使えない(落ちこぼれ)の学生がやって来るとか、問題児がやって来るとか、とにかく、良い噂はされてはいなかった。
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