雲 2014-08-18 15:57:06 |
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蔵馬山のふもとにある【 蔵馬青年の家 】は、学生たちが良く利用する宿泊施設だ。
一部屋4人部屋と8人部屋があり、2段ベッドが人数分に合わせて置いてある。
部屋割りは皆適当にくじ引きで決めたので、仲の良い子達が別れ別れになってしまっていた。
どうしても一緒の部屋になりたがってる子が、優樹菜に部屋を交換してくれと頼みに来た。
優樹菜はべつにどの部屋でもよかったので、快く承諾をした。
移った部屋には、クラスでも中心的人物である『坂上 愛羅』が居た。
男女問わず仲良くしているが、話の中心にいつも自分がいないと少し機嫌が悪くなる事もある。
容姿もなかなか可愛いく、性格も明るいので男子からは1番人気を獲得していた。
自分がモテルという事を認識しているため、自然と行動も、より自分が可愛く見えるような仕草を作り出していた。
「あれ~?相模さんってうちらの部屋だっけ?」
「は・・はい。」
蚊の鳴くような小さな声で答えた。
愛羅はクスクスと笑いながら、空いてるベッドを指差し、そこに行くように促す。
『坂上さんと一緒か~、緊張するなぁ~・・・』
愛羅は何かと優樹菜に声をかけ構ってくる事がしばしばあった。
親切心から声をかけるのか、引き立て役にしたいから声をかけるのか、そこら辺は謎である。
夕食も終わり部屋にいると、ドアをノックする音が聞こえた。
入って来たのは、同じクラスの男子たちだった。
愛羅に気がある男子達は、しばらく部屋で談笑をし、そのあと自分達の部屋に来ないかと言ってきた。
好奇心旺盛なこの年頃の女の子達は、さっそく男子の部屋へと向かった。
だが、男子が怖い優樹菜だけは、一人部屋に残ると言う。
しかし、愛羅に無理やりに連れて行かれたのは言うまでもない。
男子の部屋では、優樹菜は部屋のドア付近に腰を下ろし、みんなの和の中に入っていこうとはしなかった。
「相模さん、そんなとこに居ないでこっちにおいでよ~」
愛羅が優樹菜を立たせて移動させようとするが、下を向きイヤイヤと首を振るばかりだった。
見かねた男子の一人が
「相模もこっちこいよ」
と言い、体に触れた瞬間に
「い・・・いや・・触らないで・・・」
蚊の鳴くような小さな声で拒絶をする。
「もしかして男子が怖いの?」
無言でうなずく優樹菜だった。
その後、男子が触ると硬直し動けなくなる優樹菜をおもしろがり、隙を見つけては触りに来る男子が現れた。
その度に硬直をし、地蔵のように固まってしまう優樹菜を見て、女子達は陰でクスクスと笑っていた。
「相模さんってぇ、ちょっと自意識過剰じゃない?(クスクス)」
「だよねぇw誰も相模さんの事なんて意識してないってぇ~のw(クスクス)」
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