雲 2014-08-18 15:57:06 |
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◆ 誰? ◆
―――― ピピッ ピピピッ ピピピッ
目覚ましが鳴る。
もう朝かと、いつもの様に、いつもの時間に起きる。
ベッドから起き上がり、階段を下りて行く途中で私は気が付いた。
『身体が軽い・・・?』
昨日、いつもより早く寝たおかげで、疲れが抜けたのか、身体がとても軽く感じた。
疲れが取れてると言う事が、こんなにも清々しい気分にさせるものなのかと言うほど、心まで軽くなったような気がする。
私は服に着替え、鼻歌混じりで朝食の用意をするのだった。
朝食の準備も整った頃、いつもの時間に夫が起きてくる。
「ご飯出来たわよ」
夫に声を掛けると、夫は驚いた顔をして私を見ていた。
「なに?」
夫が何をそんなに驚いてるのか、私には分からなかった。
そして夫は、恐る恐る私に尋ねて来た。
「・・・どちら様?」
「何言ってるのよ。私よ!?まだ寝ぼけてるの?」
可笑しな事を言う夫だ。
「あぁ~・・優也の彼女か」
小声で夫は呟いた。
「やぁ~ねぇ~、優也に彼女なんて居るわけないじゃない。
一日中部屋に閉じこもってて彼女が出来たら奇跡だわよ」
なら、お前は誰だ。と言う様な顔をして、私の方をジッと見つめている。
そこに娘の梨花が起きて来た。
「おはよ~梨花」
「おは・・・・」
最後まで言葉を言わずに娘は目を丸くしている。
「どうしたのよ~、二人とも・・・朝から変よ?」
「誰?」
娘が夫に向かって聞いている。
「・・・知らん」
夫も知らないと答えた。
「ちょっと・・・何ふざけてるのよ。
あぁ~・・そう言う事?
もう、お母さんは用済みなのね。
いらないから出て行けって、そういう事なのね!?」
私は怒りながらそう言った。
「ちょっと待ってよ!誰がお母さんだっていうのよ!」
娘も何故か怒っていた。
「何その言い方!毎日毎日、携帯ばかり見てるから、お母さんの顔も忘れちゃった
っていうわけ!?
あなたもそうよ!私の顔なんかろくに見もしないで「飯」「風呂」って言うだけじゃない!
たまに真面に顔を見たと思ったら「誰だ!?」は無いんじゃないの!?
ほんと、失礼しちゃうわよね!!」
私の怒りは止まらなかった。
怒りながら洗面所に行き、顔を洗おうとした時、鏡に映った自分を見てギョッとする。
「・・・・うそ。。。」
あれは夢ではなかったのだ。
あのお爺さんが言った事は、本当の事だった。
鏡の中には、18歳の頃の私が映っていた・・・。
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