【K】猿美(猿比古募集)【BL】

家まだつかねぇの？(相手の言っていたことなんてなにも、知らず。暑さと疲労からまだかまだかと聞いていて

うるせｰな…､(まだかと度々問いかける相手に面倒そうに舌打ちすれば小さく文句呟いて｡「もうすぐ着く､」とだけ返せば少し歩く速度を速めて｡家の前まで着くと鍵を開け扉を引いてから先に入れ､と目線で促してやり｡ここ数日寝ないで仕事だった訳で当然家にも帰って居らず､久しぶりに戻ってきたな､と｡

ん…(軽く邪魔する、とだけ言ってから入り、「とりあえず今日飯作ってやるからおめぇは休むとかしてろ」と、告げキッチンに向かい

あ､待て､美咲､(室内に入ったのを確認すれば自分も続いて中に入り取り敢えず着替えたい…と考えながら殺風景な部屋の中を見渡して｡暫く家空けてたけど何も変わりねーな､とｿﾌｧに座りつつ当たり前の事を思っていると相手の飯を作る､という言葉に反応して｡若干言い辛そうにしながら「…ここ数日ずっと家空けてたから材料とか全くねｰんだけど､」と自炊している為いつもは細めに買い物に行っているものの最近は其れ所では無かったため買い置きの材料等全く無いに等しい状態で｡

うわ、ほんとになんもねぇ…(冷蔵庫を開けてみればなんにもなく、「あー、俺適当になんか買ってくるわ」と、告げ玄関に向かい部屋を出ようとし

じゃあ､これ持ってけ､(驚愕したような声に家空けるからには材料放置って訳もいかないしな､と一人思考を巡らせていると何か買ってくる､と言い出す相手の後を追い玄関の所で自身の財布を手渡して｡わざわざ買ってきて貰うからには流石にお金は渡しておかないと､と頭の片隅においてあった常識を考えての行為で｡

…、いいよ、俺が勝手に買ってくるつったんだから(と、財布を受け取ることを拒み「とりあえず行ってくっから、お前ちゃんとベッドで寝とけ」と、告げると部屋を出て

おい､美咲…､!(相手を呼び止めようと声を掛けたときには既に姿はなく｡帰ってきたら支払えばいいか､と手にある財布を見つめながら考え｡其処まで金も無い癖に何見栄張ってんだか､と呆れつつ自分の部屋まで行けば窮屈な隊服から長めの白いｼｬﾂにｼﾞｰﾊﾟﾝというﾗﾌな格好に着替え､ﾍﾞｯﾄﾞに座ってﾀﾝﾏﾂに入った事務的な内容のﾒｰﾙを確認しつつ帰りを待ち｡

(とりあえず適当に材料を買い、家に帰り「なぁ、猿お前ってカレー食えっか？」と聞きながらキッチンに向かい相手のいつも見てる服とは違くて少し見惚れていて

…お帰り､(一通りﾒｰﾙ整理が終わったのだろうか､ﾀﾝﾏﾂから顔を上げると既に帰っていたらしい相手と目が合い､どう声を掛けようかと迷った末､上記呟いて｡「嗚呼…食える､」と質問に素直に答えれば此方を見ている相手に疑問符を浮かべて｡

お、おぉ…わかった(と、答えれば「ちょっと早いけどもうつくっか」と言えば作る準備をし、野菜を切らずすって入れるかと考えながら

…もうこんな時間か､(ｷｯﾁﾝにて作業を始める相手を視界に入れつつ時計に目をやれば見回りから帰った時間から数時間は経っており､夕方になろうとしている頃で｡仕事についての書類を整理しているとそういえば始末書書かなきゃだったな､と唐突に思い出して｡面倒ながらも明日提出となっているため仕方なく其れとﾍﾟﾝを取り出せば書き始め｡

…(肉がデカイので食べやすいように切っていたら仕事をしている姿をあまり見なかったためいつもと違う相手についつい見惚れてしまいつつ、「っ…」と、指を切ってしまい、相手にはばれたくないためか指を舐め、そのままなんにもなかったかのようにカレーを作り「おい猿、飯」と言えば皿に盛り付けて

…ん､出来たか､(黙々と仕事を続けていると相手から声が掛かり､きりの良いところまで進めてから顔を上げ｡適当にﾃｰﾌﾞﾙの上に散乱していた資料を纏めれば端に寄せ､食器を持って行く位はしようと思ったのか席を立ち相手の方へ近寄り｡「持ってく､」と受け取ろうと盛り付けられた其れに目を向ければ案外美味しそうに仕上がっており相手もまともな料理を作れるんだな､と失礼な事を思いながら｡

おう、さんきゅ(相手に盛り付けたのを渡せば見た目は肉しかないように見えているがちゃんと野菜もすって入ってて先持ってけと言えば、傷口から血がまだ出ていたので、どこかに絆創膏がないか探していて

ん､了解､(相手から盛り付けられた食器を受け取れば先程片付けたﾃｰﾌﾞﾙの上に自分の分を置き｡ｷｯﾁﾝの方に視線を向けると何かを探しているような姿が見え「美咲､どうした､?」と声を掛け｡指を抑えているのが見え慌てて駆け寄ればもしかして怪我をしたのでは無いかと｡

ん、や…なんもねぇから！(だから先食ってろと左手を庇いながら相手にばれないようにすると「サラダ作るんだよ、どうせおめぇ食わねぇだろーが。俺が食うから」と、言って相手に席に戻れと言えば

…左手どうした､?(庇うように隠された左手に顔を歪めまさかとは思うが嫌な予感が当たってしまったのでは無いかと｡そういえば先程から言動が自分を遠ざけるようなものが多く妙に不自然だということに気が付き手首掴んで問いただすように相手の目を見つめ｡

っ！？(何故察したのか驚きながら、「離せ…これは…」と言いかけたが嘘をついても意味がないと悟り、切った、と正直に言えば馬鹿にされると思い

…馬鹿､なんで早く言わないんだよ､(相手の答えにやっぱりか､と舌打ちすれば真っ直ぐ目見て言い放ち｡「取り敢えず傷口洗ってろ､」と告げれば自分はここ随分と使っていない救急箱を探しに別の部屋へと向かい､最後に使ったのかいつだったかと記憶を探りながら思い当たる場所は無いかと｡